耳のお医者さんに、赤ちゃんを取り上げてもらいました。

私の主人は医者で、二人目の出産の時のことでした。 血を見るのが嫌ということで医者だけれども手術があまりない耳鼻咽喉科のドクタ-している。インタ-ンの時代に内科の手術に立ち会い、途中で気分が悪くなったことがありました。

主人の友達の医師が産婦人科の医師をしていて、マタニティリゾ-トということを売りにしている私立の産科病院で働いていました。通常の2倍程度の費用は掛かりますが、非常に出産まで楽に、そしてその後も快適に過ごせるというのが売りの病院で有名な病院でした。長男を出産したのもその病院で、非常に快適でしたので、家からは遠いのですがその次のお産もそこにしたのでした。

出産が近くなると、病院に行くための準備をしておりました。家からタクシ-で45分ほどかけて駆け付ける段取りをして、着替え等も玄関に置いておりました。そのタイミングは予定日より一日早く来ました。

たまたま主人がいてる時に、陣痛が発生し、主人の運転するトヨタアルファ-ドの後部座席2列目3列目を倒して、私はマタニティリゾ-ト病院に向かいました。ただ予定通り、お腹が痛くなり、だんだん辛抱が出来ない状態になってきました。

痛みがきついのと子供が生まれるという感覚は同時に発生するので、妊婦本人も訳が最後はわからなくってしまいます。 私も具合というのがわからなくなってしまい、「もうだめ。もうだめ、病院まで持たないわ」ということを叫んだみたいでした。それを聞いた一応医師の主人は、高速道路を飛ばしていましたが、インタ-チォンジに車を止めて、後部座席の私の所にやってきたのでした。

「しかたない、手術ではないから、私が取りだそう」という戯言を言い出して、脇には医療カバン一式が用意されていたのでした。たちまちの間にアルファ-ドの後部座席はリネン室に変わり、主人の両手は完全消毒されて子ども救出?取り出し?にモデルチェンジされていました。

それから、私は主人の励ましの元、痛みとたたかうこと20分、高速道路インタ-チェンジのところで次男を出産することになったのでした。

子供は意外とすぐに出てきて破水していたので緊急度が高かったので仕方のない事とはいえも無事に耳鼻咽喉科のドクタ-が子供を取り上げてくれたことになりました。

子供を取り上げた後は、万歳万歳というわけには行かず、母子ともにバイ菌のことがあるので、完全消毒体制のまま病院に運び込まれました。

後日、主人に「赤ちゃんをとりあげたことあるの?」と聞きましたら、農家をしている実家で牛の出産を手伝ってことあるといっておりました。「牛の赤ちゃんは自分で出てくるので、楽だったが・・・うちの子は・・もう嫌だ」ということも、つぶやいていましたが、役に立つ人であることがわかりました。