出産祝い、まさかの被り祭り

出産して退院した日のこと。
久しぶりに自宅のソファに座った瞬間、心の底から「帰ってきた…」と思った。けれど同時に、目の前に積み上がる段ボールの山。

全部、出産祝いだった。

友人、親戚、職場の人…。
こんなにたくさんの人が祝ってくれるなんて思っていなかった。嬉しくて、疲れも忘れて開封作業を開始した。

最初の箱。
可愛い包装紙を開けると、ふわふわのベビー服。

「わぁ…かわいい…!」

くすみカラーのロンパース。シンプルでおしゃれで、まさに好み。センス良すぎる。思わず写真を撮ってお礼のメッセージを送った。

そして次の箱。

開けた瞬間、手が止まった。

「…あれ?」

さっき見た服と、ほぼ同じ。
いや、ほぼじゃない。完全に同じブランド。

「え、人気なのかな?」

色は違う。今回はベージュ。さっきはグレー。
「色違いならむしろありがたいかも!」と前向きに考えた。

しかし、事件はここからだった。

3箱目。

開ける前から嫌な予感がした。
そして現れたのは――また同じブランドのロンパース。

「嘘でしょ」

思わず笑ってしまった。
しかも今回は淡いブルー。もうコレクション状態である。

そして極めつけは数日後。
ポストに不在票。受け取った荷物を開けた瞬間、私は声を出して笑った。

4着目。

完全にシリーズ制覇。

夫は言った。
「これ、ユニフォームじゃない?」

結果、我が家の赤ちゃんは毎日同じブランドの服を着ることになった。色違いローテーション。写真を見返すと、背景が違うだけで服はほぼ同じ。

でも不思議なことに、友人たちはみんな喜んでくれた。

「着てくれてる!!」
「写真送ってくれて嬉しい!」

そう、出産祝いって“使ってもらえること”が一番嬉しいのだ。

被ってしまったことを伝えると、友人の一人が笑いながら言った。

「だって、そのブランド鉄板なんだもん!」

どうやら“絶対喜ばれる出産祝いランキング”の上位らしい。みんな同じ情報を見ていたらしい。

数年後、写真を見返すたびに思う。
同じ服を着ていたあの頃は、毎日が必死で、でも幸せで、そしてちょっと笑える日々だった。

被り祭りだった出産祝い。
でも、あの4着は今でも大切な思い出になっている。