「これって陣痛かも!」と期待と緊張の中で待っていたのに、だんだん痛みが弱くなり、気づけばおさまってしまった……。
そんな経験をする妊婦さんは、実は少なくありません。
とくに出産が近づく臨月には、“陣痛が来たと思ったら止まってしまう”というハプニングが多く見られます。出産は「いつ始まってもおかしくない」時期だからこそ、不安になったり、落ち込んだりする方もいるかもしれません。
この記事では、陣痛が一度おさまってしまったときに考えられる原因と、妊婦さんが取るべき行動・対処法をわかりやすくご紹介します。
陣痛が止まってしまうことは珍しくない
「陣痛=出産が始まるサイン」というイメージが強いですが、実は出産前には“前駆陣痛”と呼ばれる、練習のような痛みが起こることがあります。これは子宮が出産に向けて準備を始めている証拠で、本格的な陣痛とは異なり、不規則で一時的におさまるのが特徴です。
しかし、前駆陣痛だけでなく、本陣痛が一時的に弱まったり、止まったりするケースもあります。
どんなときに陣痛が止まりやすい?
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不安や緊張でリラックスできていない
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病院に到着して環境が変わった
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長時間の陣痛で体力や集中力が切れてしまった
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水分・栄養不足で体が疲れている
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赤ちゃんの姿勢(胎位)がまだ出産に適していない
出産は“心と体のコンディション”がとても影響します。環境や気持ちの変化が陣痛の進みに影響を与えるのは、決して珍しいことではありません。
陣痛が止まってしまったときの対応・対処法
1. まずは落ち着いて、様子を見る
一度陣痛のような痛みがあったのに止まってしまうと、焦ってしまう方も多いですが、まずは深呼吸をして気持ちを落ち着かせましょう。前駆陣痛であれば、また数時間後、あるいは数日後に本陣痛が始まることもあります。
自宅にいる場合:
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規則的な痛みが再開するか、30〜60分ほど様子を見る
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横になって体を休める
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お風呂に入ってリラックスする(破水していない場合)
病院にいる場合:
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医師や助産師の指示を仰ぎ、経過観察に従う
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陣痛が再開するまで待機するか、一時帰宅をすすめられることも
2. 身体をあたためてリラックス
オキシトシンという“陣痛ホルモン”は、心身がリラックスしているときに分泌されやすくなります。緊張やストレスは逆にホルモンの働きを妨げ、陣痛を遠ざけることも。
おすすめのリラックス方法:
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足湯や湯船に浸かる(※破水前に限る)
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アロマを使って深呼吸
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好きな音楽や映画を観てリラックス
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パートナーに背中をさすってもらう
環境を変えるだけでも気分が落ち着き、再び陣痛が戻ってくるケースもあります。
3. 軽く身体を動かす
長時間ベッドに横になっていると、赤ちゃんが産道にうまくおりてこなかったり、姿勢が整わないこともあります。そんなときは、無理のない範囲で体を動かしてみましょう。
効果的な動き:
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ゆっくりとした室内のウォーキング
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骨盤をゆらすようなスクワット(医師と相談のうえで)
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バランスボールに座って骨盤をゆっくり回す
体を動かすことで、赤ちゃんがより良い姿勢に移動しやすくなり、陣痛の再開をうながすこともあります。
4. 水分・軽い食事をとってエネルギー補給
長丁場になることも多い出産では、体力の維持が大切です。陣痛が止まってしまったときこそ、エネルギー補給のタイミング。
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水分(常温の水やノンカフェインのお茶など)
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おにぎり、バナナ、ゼリー飲料など消化に良い軽食
特に初産婦さんの場合は、陣痛から出産までに10時間以上かかることもあるため、無理なく栄養をとっておくことが重要です。
5. 医師・助産師に相談する
陣痛が弱まったと感じたとき、自分で判断せずに早めに産院に相談しましょう。特に以下のような症状がある場合は、すぐに連絡を。
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破水のような水っぽい液体が出ている
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出血がある
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胎動が感じられない・急に少なくなった
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強い痛みが突然消えて不安になった
医療のプロが状況を判断し、必要であれば適切な処置(入院継続、帰宅、促進剤など)をしてくれます。
陣痛が止まっても大丈夫。赤ちゃんと体が「今じゃない」と判断しただけ
陣痛が一度来て止まってしまうのは、妊婦さんや赤ちゃんの体が「もう少し準備したい」と伝えているサインでもあります。
焦らず、落ち込まず、「お産に向けて一歩進んだ」と前向きに受け止めてください。多くのママたちが同じような経験をして、無事に出産を迎えています。
まとめ:止まった陣痛に必要なのは、焦りではなく“ゆとり”
陣痛が収まってしまうと、「出産のタイミングを逃したのでは…?」と不安になる方もいるかもしれません。でも、出産は機械的に進むものではなく、心と体の状態、赤ちゃんの準備がそろって初めて始まるものです。
止まった陣痛は“後戻り”ではなく、“準備の延長”。
自分と赤ちゃんを信じて、もう少しだけ待つ心の余裕を持って過ごしていきましょう。
赤ちゃんとの出会いは、もうすぐそこです。